風に吹かれて

風に託すのは遠き夢 風に囁くのは儚き恋 風は形のない遠い記憶…

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森での出来事…

今日はアイリスとの森歩き。どんな鳥に逢えるかな?とわくわくしながら家を出た。

「今朝、洗濯物を干していたら、ジョビちゃんが、ベランダを横ぎっていったのよ。」と話したら、
アイリスも、『うん、わたしも、窓の外で鳴いているなって思っていたわ。きっと迎えに来たのね』と言う。
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通りを歩いていたら、チュルチュル鳴きながら、小さな小鳥が民家の庭の蝋梅の木にやって来た。
『あっ、メジロだわ。もう、メジロの鳴き声は覚えたのよ。』と、アイリスは嬉しそうに呟いた。
柿の木に集まって、ピィーピィーと騒いでいるヒヨドリたちを見て『ひよたちは、朝の集会をしているみたいね』
そして、いっせいに波のように飛んでゆくヒヨドリを見て、『おかあさん、空飛ぶペンギンみたいだと思わない?
ほら、水族館で、下から水槽が見えるところあるでしょう。まるで空を飛んでるようにペンギンが泳いでいるところ。あんな感じよね、ひよたちの飛び方って!』という。
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畑にはちょこちょことハクセキレイが散歩していた。
『セキレイは、駐車場に、わたしを呼びに来るのよ。いつも、ふらふらと千鳥足で歩いているみたい。きっと、酔拳の使い手だと思うのよ(笑)』
等等と、アイリスの語録は続く…(*^_^*)もう、すっかり、バードウォッチャーらしくなってきた。


いつもの水路にさしかかると、早速、畑の上を低く飛んで、モズがお出迎え、『あっ!モズ吉!』と、嬉しそうに双眼鏡を覗いて、『あら?ちょっと違う?もしかして、モズのメス?過眼線の色が茶色だよ。』と言った。
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「ほんと、良く分かったね。モズリンだわ。ほら、小首を傾げている。かわいいでしょう?
穏やかな優しい顔をしてるわよ。」と、わたしが言うと、
『そうかぁ、この子がモズリンなのね。ほんと、優しげな顔してるネ!初見だわ、逢えてうれしい!』と、嬉しそうに言う。モズリンは、すぐ側をゆっくりと飛び去っていった。
そして、入れ替わりに今度はモズ吉が姿を見せて、水路の手すりに止まったのだった。
「いつも、こうして逢いに来てくれるって、かわいいよね~!きっとどこかで見ているんだと思うのよ」
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川には厚い氷が張っていた。「今日は、カモたちもいないね。」と、アイリスが呟く。
いつもは、あんなにたくさんいるカルガモたちさえ姿が見えず、冷たい風が川面を撫ぜて吹き抜けた。
大きな鯉たちが、体を寄せ合わせるようにしてじっとうずくまっている。
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『カモたちは、どこへ行ってしまったの?もしかして、もう、帰ってしまったの?』と、アイリスは不安げに言った。
「いいえ、まだ、まだ、大丈夫よ。3月いっぱいは、居てくれるよ」と、言うと、
『そう、良かった!あの、綺麗なマガモの緑、今日は見れないのかなぁ?それと、コガモも見てみたい。この川には居ないの?』
「うん、どうかなぁ?まだ、おかあさんも見たことがないわ。多摩川ならいろんなカモが見れるかも。」
『見れるカモ!って、駄洒落?』(笑)

そんなことを言いながら、笑いあっていたら、緩やかに羽ばたきながら、コサギが舞い降りた。
『わぁ、優雅な飛び方ね。いつものコサギね。今日も一人だわ…』と、アイリスは言う。
コサギは、翼をたたんで水路の護岸に舞い降りて、ちょっと背をかがめた独特の歩き方で、ゆっくりとした歩幅で歩き出した。
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『今日は、マガモも居なくて寂しそうね。わたし、いつも一人でいるコサギを見ると、ガンバレって言ってあげたくなるわ。今日は、カワセミどんは、居ないのかしら?』アイリスは、カワセミに『カワセミどん』と名前を付けたのだった。何だか自分を見るような気がする(笑)
それにしても、静かな川岸だ。カルガモたちは、どこへ行ってしまったのだろう?

しばらく行くと、青い山並みの向こうに真っ白な富士山が覗いていた。
『わぁ、綺麗ね!双眼鏡で見たら、すごく綺麗よ。』と言いながら、アイリスはじっと見ている。
富士山を見ると、いつも山梨にいる長女のことを思い出すわたしたちだった。
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すると、大空を大きく輪を描きながら、鳩の群れが翼をひるがえして飛んでいった。
「アイリス、鳩が飛んでいくわ。伝書鳩の群れだわ!」大空を翼で切るように、シャープに飛んでいる。鳩って、飛ぶことを楽しんでいるように見える。
『鳩の飛び方ってかっこいいね!どこかにパズーがいるのかな?』と言ってアイリスは笑った。
旋回している鳩の群れを仰いでいたら、きらりと光る白い姿。あれ?と思ったら2羽の白い鳩だった。
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『白い鳩が飛んでる姿って、始めて見たわ、綺麗だね!平和のシンボルというのが良く分かる気がするね。』
「青い空に、良く映えて、真っ白に見えるね。2羽で同じように飛んでいくのね」
『ほんと、示し合わせたようにぴったりと、同じ距離を保って飛んでいく。曲る時も同じ方向に曲がって行くのが不思議!』

畑に咲いたタンポポやオオイヌノフグリの花に春を見つけたり、小川に落ちたどんぐりや、水に浮かんでは消える泡の中に、映る青空や、白い太陽に見入ったりしながら週末の森に着いた。

『あっ、どんぐりが、お池にはっまてるよ!(*^_^*)』
どんぐりころころ、どんぶらこ、お池にはまってさぁ、たいへん~♪
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『あっ、泡のなかに、ちいさな空と、ちいさな太陽!かわいい!』
流れに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし…なんてね。
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すると、いつものミヤマホオジロやルリビタキのポイントに、大きなカメラを構えた三人のカメラマンがいた。
彼らは椅子に座って、じっくり腰を据えてミヤマを狙っているようだった。

どうしようかな?と思ったが、遠くからちょっとだけ見て立ち去るつもりで立ち寄った。
でも、なるべく邪魔にならないように彼らの数メートル後方から、アジサイの小道を双眼鏡で眺めた。
するとミヤマホオジロのオスが、ちょうど午後の陽射しが差し込んだアジサイの小枝で、日向ぼっこをするようにじっと止まっていた。
ちょっと遠かったけれど、それは、うっとりするほど美しい光景だった。たぶん、素敵なカメラアングルだったことだろう。
わたしたちの前に居た、40代ぐらいの男の人は、何枚もシャッターを切っていた。

その人の足元では、一羽のシロハラが、夢中で餌を探していたけれど、シロハラの事は全く眼中にないようだった。
わたしと、アイリスは、シロハラの行動が楽しくて、双眼鏡で覗きながら、声を潜めて話し合った。
『何で、あんなに派手に落ち葉をひっくり返すのかしらね。保護色だけど、存在がバレバレだよね。』アイリスは、せっかちそうなその鳥を、面白そうに見つめていた。
わたしたちが、そっと立ち去ろうとしたその時、足元のシロハラに見向きもしなかったカメラマンが後ろを振り返り、わたしたちを睨みつけるように『あんまり、動き回らないでね!』と言った。
わたしたちは、撮影の邪魔をしないようにと気を使って、その人たちの後ろに回っていたのだけれど、きっと、それが気に障ったのだろう。

「すいません…アイリス、向こうに行こう。」わたしは、そう言ってその場を去った。
向こう側の道に移った時、アイリスの様子が変だった。
「どうしたの?元気なくなっちゃったね。」と、声をかけると、
『凄く、感じ悪い…おかあさん、誤ることなかったのに…』と、アイリスが呟いた。
「そうだね。でも、鳥を見る人の中には、ああいう人も居ることは確かよ。
あの人たちは、どちらかというと、鳥の写真を撮りたいという人なの。
鳥を見て癒されるというより、珍しい鳥のいい写真を撮りたいのが優先するんだわ。

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鳥だけじゃないわ。尾瀬とかでもいい写真を撮りたいばっかりに、我が物顔で、
他のハイカーをどかそうとする人もいるわ。
カメラマンの中のほんの一部の人だけれどね。でも、そんな人ばかりじゃないよ。
ほとんどの人はみんな心優しいバードウォッチャーよ(^_^)」と、慰めた。

アイリスは『何だか、いままでの楽しかった気分が、いっぺんにしぼんじゃったわ。生き埋めになった気分だわ…』と、呟いた。
「ふふふ、大げさねぇ。まあ、そういう人もいるってことで、今度からはカメラマンがいる時には、近づかないことにしようね。
他の場所だって、鳥たちには逢えるわよ!」と、励ましたけれど、今日は、どうも鳥たちも少ないようだった。
『どこかに、隠れちゃったのかしら?…』アイリスは、元気がなくなってしまった。
「もう、1時になるから、そろそろ帰ろうか?お腹も空いたでしょ?」 『うん…』
丘の上から見る空は、細くたなびく雲を連れて、青く澄んでいた。

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わたしたちは、帰り道に、先日、アイリスがパンダ目の謎の鳥を見かけた畑の片隅の雑木林の横を通ることにした。
もしかしたら、もう1度会えるかも知れない。という、わたしに、アイリスは浮かない顔でうなずいたのだった。

ところが、その林に差し掛かった時、『あっ!いた!』と、アイリスが叫んだ。
『ほら、あそこ、あの木の根元にいるわ!』見ると、枝の上ではヒヨドリやツグミたちが囀っているのに、
その根元で一心に、落ち葉をひっくり返しながら、餌を探している鳥がいる
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まるで、シロハラと同じような習性だけれど、シロハラよりも大柄な鳥だ。
慌てて双眼鏡で見ると、「ええ~?何、あの鳥~!」と思わず叫んでしまうほど、見たことも
聞いたこともない鳥だった。

シロハラでもなく、カケスでもなく、オナガでもなく、ヒヨドリでもない。
この間、アイリスが言ったように、全身がグレーで、目の周りが真っ黒で、お腹が白っぽくて、腰の辺りが黄色っぽくて尻尾が長い鳥。
まさに、その通りの容姿だった。

アイリスは、夕方の薄暗がりで本の一瞬だけ見たと言うのに、その的確な特徴を把握しているのに驚いた。
わたしは、いくら見ても最初の頃は、その鳥の特徴を掴めなかったのに、
アイリスは、鳥見のセンスがあるかもしれない。
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わたしは、慌ててカメラを取り出し、何枚も写真を撮った。
200ミリでは、あまり大きく撮れないけれど、何とかトリミングをすれば分かると思う。
なるべくピントの合った写真を撮らなくては。
わたしは、アイリスのために、種類が判別できるような、いい写真を撮りたいと思った。

家に帰ってから、PCに取り込んでみた。「写ってる!」これなら、何とか分かるかもしれない。
まずは、アイリスと二人で図鑑を隅々まで調べたが、見当たらない。
ネットで調べたけれど分からない。「これは、お母さんのネットのお友達に聞いてみるわね。」
と言う事で、鳥見の師匠でもある翼さんにお聞きした。

すると、「カオグロガビチョウ」であることが判明したのだった。中国辺りの鳥で、特定外来生物に指定されているそうだ。

    ※以下、BBSに書いていただいた《翼さんのコメント》です。
    これは「カオグロガビチョウ」です。こちらでは滅多に見れない珍鳥ですが、
    関東周辺では、ピンポイントで棲息が確認されているようです。
    ガビチョウと同じく、中国南部から東南アジアにかけての外来種ですが、
    特定外来生物に指定されています。
    よく似た種類には「カオジロガビチョウ」もいます。いずれにしても留鳥ですし、
    あまり移動は好まないようです。週末の森ではしばらく観察できるかも知れません。


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あまり繁殖力がないのか、まだ、あまり確認されることは少ないそうだ。
「やったね。アイリスのお手柄だよ!素敵な発見だよ!」と、わたしが言うと、
『そうなの?』と、アイリスは少し嬉しそうな顔をして言葉を続けた。
『わたしね。あの出来事で、もう、週末の森に行きたくないって思ったけれど、カオグロガビチョウのお陰で、また行ってみようと思えたわ。
あの鳥は、遠いところからやってきた鳥の子孫だったのね。ねぇ、おかあさん、日本で見れる鳥たちと同じ鳥が外国にもいるのかしら?』

「そうね。たぶんいると思うわ。それに、冬鳥たちは、春になれば、中国やシベリアに渡っていくし、入れ替わりに夏鳥たちが、オーストラリアやニュージーランド辺りから渡ってくるのよ。
鳥たちは小さな体で命がけで渡りを繰り返していく、凄いことだと思わない。自然は雄大で不思議に満ちているわ。
そんな鳥たちと触れ合えるって素敵なことだと思わない!」

『うん!わたし、また、鳥たちに逢いにいくわ。』と、アイリスは目を輝かせ笑顔を向けた。
アイリスは、まだ、知らない。あの愛らしいジョビコたちの旅立ちの日を…。
ある日、森を歩いても、どこにもその愛らしい姿が見れなくなる日が来るのだ。
その時の、寂しさは、なんと言ったらいいのか分からないものだった。

その時が来たら、アイリスは泣くかしら?と、思ったら辛くなった。
でも、その日まで、鳥たちとの交流を深めていよう。

今は、アイリスには、そのことを言わずにおこう…と、わたしは、そう思ったのだった。

キラキラと、輝く、福寿草がもう、咲き出していた。春は、もうすぐ、そこだった。
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コメント

こんばんは♪

娘さんと楽しい鳥見ができていいですね。
カワセミどん・・って面白いです♪

かぜくささん

こんばんわ(*^_^*)
そうなんです。アイリスは、『カワセミどん、カワセミどん、出でおいで~♪』なんて、言いながら川を覗き込んでいます。
『今日は、青いセーターを着てきたから、青い鳥に逢えたね♪』
『今度は、紅いセーターを着てきたら、ベニマシコに逢えるかな?』とも、言ってます。
話し相手がいると、やっぱり楽しいですね。

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桔梗(sizuku)

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