風に吹かれて

風に託すのは遠き夢 風に囁くのは儚き恋 風は形のない遠い記憶…

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金袋山のミズナラを探して(その3)

ミズナラがいる場所は、平らな森で、少し窪地のような感じになっている。
わたしは、ミズナラが目当てだったので、その先の道のことは全く考えていなかったけれど、その鈴の音の人は、ミズナラの後ろ側に続いている斜面のどこからか現れたらしかった。
やがて、ミズナラの傍に近づいてきたその人に、「こんにちわ」と声をかける。みると手にはビニール袋を提げていたので、「キノコですか?たくさん取れましたか?(^_^)」と聞いてみた。
その人は、『いや、あまり取れないですね。半日でこの袋ひとつだからね。』と言った。
わたしは、興味深々で、「どんなキノコが取れるんですか?」と聞いてみた。わたしは、こんもりと膨らんだビニール袋の中身が見たくてたまらない…きっと、目線はじっと袋を見つめていたに違いない。
その人は、にっこり笑うと袋の中身を開いて見せてくれた。
IMG_9808.jpg


『この、大きなのがシイタケ、茶色いのがクリタケ、白いのがチョコタケ、で、これが長野の人が喜ぶハナイグチというキノコですよ。」そう言って、いくらか黄色みを帯びた茶色いキノコを袋から出して見せてくれた。ちょっとぬめっとした感じ…知らない人が見たら食用キノコには見えないような気がした。
わたしは、ずうずうしく「写真に撮ってもいいですか?」と聞いた。
『どうぞ、こんな感じでいいかな?』と、手に持ってポーズを作ってくださった。
「ありがとうございます♪」と言うことで撮らせていただいたのがこの1枚、キノコの達人の手と“とても立派なハナイグチ”(^^♪
IMG_9805.jpg

わたしは、お礼を言って、どちらから入山されたのか聞いてみた。
すると、小川林道側から金袋山に登る登山道があるらしい、そちらから人形山を経由して歩いてこられたとの事だった。金袋山のミズナラと言われているが実際には人形山と一石山の間にあるのだと言うことが判った。『人形山といっても丘みたいなピークで展望は無いですけれど、ここから15分も登れば三角点がありますよ。』と教えて貰った。
キノコの達人さんは、きっと奥多摩の山を知り尽くしている山の達人さんでもあるのだなと思った。
穏やかな優しい笑顔の人で、話し方も控えめで素朴な温かみがあった。
わたしは、密かに登りたいと思っていた燕岩のことを尋ねてみた。
「燕岩の露頭に出るには、どこから登ればいいのでしょうか?一石神社から登ってきたんですが見つけられなかったんですけれど…」
『朽ちた案内板が立っていた尾根を通ったでしょう?あの先を15分も行けば、もうそこが燕岩の露頭ですよ。帰りは尾根を少し戻った所に左に降りる道がありますから、そちらの方が道がいいですよ。水源林調査用の道だったんですが、最近は巨樹を見に来る人たちが多くなったので良く整備されてますので迷う事は無いと思いますよ。』と親切に教えてくださった後、達人は風のように、森の中へと消えていったのだった。
IMG_9812.jpg

わたしは、達人さんを見送った後、人形山に登ってみようと思って、ルートを探して、辺りを歩き回ってみたが、その先の道が見つからなかった。人形山や金袋山へのルートは次回に持ち越す事にして、時間も2時になろうとしていたので下山を開始する事にした。
わたしはミズナラに手を触れて、「また、逢いにくるからね!」と約束を交わし名残惜しく何度も振り返りつつ下山を開始した。
IMG_9850.jpg

しっかりした踏み跡を辿って歩き出したのだが、いきなり道が消えた。
「あれ?おかしい?」わたしは立ち止まり辺りを見回して来た道はどうだったかを考えた。
そして、その時、あることを思い出してヒヤッとした。
それは、最後の詰めの数メートルを、良く覚えていなかった事に気付いたのだ。あの時、このミズナラが目に入った瞬間、夢中になってしまって、もう、ミズナラ以外何も見ていなかったのだった。ただ1点、ミズナラだけを見つめて登ってきてしまった。何処をどう通ったのだろう…?
とりあえず、もう一度ミズナラの見える場所まで戻って考えてみた。
「落ち着いて、…良く思い出してみよう」ちょっと不安は過ぎったが、ゆっくり思い出してみると、左からの道を登ってきて、ミズナラを見つけてからは常にミズナラを正面に見ながら登っていた。
と言うことは、この辺りを登ってきた事になるなと思い、真っ直ぐに降りてみたら、紅いテープが目に付いた。そちらに歩いていったら、しっかりした道が現われてホッとした。

けれど、登りに利用した道ではないことに気が付いた。
キノコの達人さんの話では、水源林監視用の登山道が向かって左側にあると聞いていたので、これがその道だと思った。
しっかりした道ではあるけれど、何処に出るのか分からない不安がある。でも、来た道は見つかったものの探しながら戻るのも、少し不安があった。
しばらく考えて、水源林監視用の登山道を降りることに決めた。
道ははっきりした踏み跡で、谷筋を下っていた。かなり急勾配を一気に降りていく、わたしは緊張していたので、もう、写真を撮る事も無く黙々と下って行った。
やがて、大きな籠岩らしき岩峰が見えてきてその下を回り込むようになってきたので、ルートに間違いが無い事が分かってホッとした。
まもなく、渓谷を流れる水音がしてきて、眼下にに小川谷林道が見えてきた。
「なるほどね。ここにでるのか~!」思わず独り言。
そこは、何度か登山道を探して歩いた小川谷林道の入り口付近だった。
取り付き口に鉄製の階段があって、案内板もあったが、金袋山という文字も巨樹コースという言葉も無かったので見落としていたのだった。

時計を見ると3時少し前だったから30分ぐらいで降りてきたことになる。下りに使った道は良く整備されていたので歩きやすかった。
ちょっと迷いそうになったけれど、無事に降りて来れて良かったと思った。あの、キノコの達人さんに会っていなかったら、この道を見つけられなかったかも知れない。今回の山でも、反省点がたくさんあった。広い尾根の場合、道を見失いやすい。何かに夢中になるあまり、まわりを注意深く見ることを忘れると大変な事態になってしまう事もあると思う。
常に冷静に、周りを良く見ておくことが必要だと思った。

そして心密かに、次にもう一度来る時には燕岩の露頭に登ってみたいと思ったのだった。
午後の青空に梵天岩の尖った岩峰が突き上げるようにそそり立っていた。
IMG_9857.jpg

鍾乳洞近くの銚子の滝
IMG_9866.jpg

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コメント

sizukuさん 無事に降りられて良かった?
と思ったけど、迷ったら11日は無かったのだ。笑い。奥多摩の「ヌシ」的存在だ。今度は迷わないよう出かけてください。
私の写真にするのは難しい所のようですね。三脚も重たい。笑い。

ジークさんへ

じーくさん、こんばんわm(__)m
そうですね、一瞬ですけど、道が消えて緊張しました。
でも、下山路に使った道は良く踏まれた判りやすい道でした。
そこから入れば、ジークさんも行けない場所ではありませんよ。
岩や木の根など無いので、ゆっくり時間をかけて登れば大丈夫だと思います。
新緑の頃にでも、ご一緒に巨樹に逢いに行きましょうか?
三脚なら、わたしが持ちますから(^_^)

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