風に吹かれて

風に託すのは遠き夢 風に囁くのは儚き恋 風は形のない遠い記憶…

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結願の寺

ちょうど、昨年の秋から始めた秩父札所巡りの旅が、つい、先日終わりを告げた。
途中で、滞っている期間もあり、娘と時間を合わせながらの旅だったから、秩父34箇所の観音霊場を回りきるのに、ちょうど1年の歳月を要してしまった。

何も知らずにぶらりと訪れた秩父路で、長閑な里道の片隅に置かれたしるべ石が目に入った…
巡礼古道の立て札に惹かれて、訪ねた最初の札所で、地元のおじいさんから、札所巡りのいわれを教えてもらった。
巡礼のなかでいただく御朱印や御朱印帳の意味も始めて知った。

『なんとなくスタンプラリーみたいね。』
「うん、なんだかおもしろそうだね!」って事で始めた巡礼の旅だった。
でも、ひとつ、ひとつ、お寺を探して訪ね歩き、納経所と言うところで、お寺の住職さんや、それに順ずる檀家の方々が書いてくださる御朱印帳の毛筆の美しい文字を見つめているうちに、不思議と心が澄んでくるのを感じ始めた。ほどなくして、
『なんだか、不思議と落ち着くよね』
「うん、自然に手を合わせてみたくなるね」と、会話するようになっていた。
秩父の札所は、長閑な里道の奥にひっそりと佇んでいたり、古い町並みに埋もれるように立っていたり、
そうかと思えば、ものすごい断崖絶壁や、山奥の閑散とした場所に人知れず佇んでいたりして、訪ねる度にドキドキして、毎回飽きる事はなかった。
そして、町の人たちの素朴な優しさもわたしたちの心を和ませてくれた。道で行き会うと、必ず「お疲れ様です」とか「ご苦労様です」と優しく声をかけてくれ会釈してくれた。あの温かな人情が忘れられない。

9月最後の週末、秩父札所巡りは、あと、3つのお寺を残すのみとなった。
『きっと、今日で回り終えるね。でも、ひとつひとつが離れているからぎりぎりかも知れないけれど…』と、アイリスが言った。
彼女はすっかり、秩父の地図が頭に入っているようで、迷う事無く車を走らせていた。最初の頃、地図を手にした助手席のわたしのナビが、間違いだらけで、時々、不安がっていたのが嘘のように逞しくなった。
心なしか、ハンドルを握るアイリスが、一回り成長したように見えた。
「そうね、辿り着けたらそれもいいし、辿り着けなかったら、また、次にすればいいわ、急ぐ旅じゃないんだから…」と、わたしは笑った。

今日の最初のお寺は、小鹿野にある法性寺、三十二番の札所だった。
このお寺が、実はすごいお寺だってことにこの時はまだ気付かずにいた。
とっても古く趣のある山門には、迫力ある木像の仁王様が佇んでいる。
ちょうど等身大の姿は、何となく親しみがあった。
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山門には、御船観音と書いてある。『どういう意味なんだろうね?』
などと言いながら、山門をくぐる。
磨り減って、角の丸くなった石段が続き、シュウカイドウのお寺と言うだけあって、美しいシュウカイドウが迎えてくれた。

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お寺の奥には、屏風のような岩屋があり、そこには、高床式のお堂が建っていた。靴を脱げば、自由に中に上がって見学も出来るのだ。
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回りには、トチの巨木が何本も繁り、時折り、カツーン、カツーンと音を立てて、トチの実爆弾が落ちてきた。(笑)
アイリスは、もう、トチの実の名前を覚えていた。
誰が集めたのかなぁ?苔むした石の上にトチの実が乗せられていた。
零れ落ちる陽射しが、いい感じにスポットライトを当てている。
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ここから、大岩をくぐって、山道を登り奥の院まで行くことにした。
後から登って来た、年配のご夫婦がいらっしゃったので、挨拶を交わした。すると、ご主人が『上には行かれましたか?』と尋ねられた。
「いいえ、これから行って見ようと思っているんですよ」と答えた。
『ああ、そうですか。ちょっと根性が要りますよ。でも、一度登ったら、多分、忘れられない場所になるでしょう。滑らないように気をつけて行っていらっしゃい。』と、笑顔で見送ってくれた。
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『根性がいるって、どういうことかな?鎖や梯子があるって言ってたよね。』と、アイリスはちょっと不安気な顔をした。
「大丈夫よ♪あなたは、小学生の時、乾徳山の垂直な大岩をスイスイ登っていたわよ。覚えていない?」と、わたしが笑うと覚えていないといった。

「秋の花をいくつ見られるかしら?楽しみなのよ」
すると、ひらひらとコミスジが降りてきた。わたしが指先を近づけると蝶は、ひらりと止まってくれた。
『わぁ、おかあさん、すごい!どうしてそんなことが出来るの?』
アイリスは目を丸くしていた。そして、慌ててカメラを向けた。
「あなたの手に乗るかしら?」わたしは、そっと、指先をアイリスに近づけたけれど、蝶はひらりとまた舞い上がってしまった。

ヤマジノホトトギス
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シロヨメナ
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モミジガサ
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モミジハグマかしら?
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苔むした古い石段は、岩を刻んだもの。
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細長い大きな岩盤の下に、幾体かの石仏が奉られていた。
『これが、御船観音?』「いいえ、まだ先に道があるよ」

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先頭を行くアイリスが、わぁ~!と声を上げた。
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突然、雑木林を抜け、岩尾根に飛び出した。
そこは、とても大きな岩稜で、まるで大きな一枚岩のような感じがするのだった。アイリスは、岩壁から下を覗きこんで、『スゴイ~!』と叫んでいる。ちょっと腰が引けているね(笑)
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その岩稜ぞいに、伝って行くと遙か前方の、岩の突端に、ほっそりとした観音様が立っていた。
まるで、船のへさきに立っているように見えるから御船観音と言うらしい。なるほど、と納得だった。
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彼方には秩父の霊峰、武甲山が、青空に浮かぶ。
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緑の山々を見下ろして、すらりと美しい観音様が立っている。
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「それにしてもすごいところに立っていらっしゃるよね…」
『ぜったい、忘れられない場所だね。あのおじいさんが言ったとおりだね。ほんとうに、綺麗な観音さま…』と、アイリスが呟いた。
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白い雲と青空をまとって、まるで天女のように…
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今度は、反対側の岩壁のはずれにある、大日如来像へと向かって、岩尾根を歩いていく。
「ほんと、いい天気で良かったね。気持ちがいいわ」と、わたしは深呼吸して「ヤッホー!!」と叫んでみた。
アイリスはびっくりして、『おかあさん、恥ずかしいよ。下に聞こえちゃうよ』と言った。「聞こえたって平気よ」と笑ったけれど、アイリスは呆れ顔。
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大日如来様へは、大岩に付けられた梯子を上っていく。
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この岩の上の小さな広場は、人一人がやっと立てるスペース。
小さな仏像と向かい合う形となる。
「今までこんなに近くに仏像を見たことなんてないわね」
『ほんと、何だか親近感を感じちゃうね。この仏像と同じ視線で見てるのね。』
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ふたりして、仏像の手に触れて、この岩屋を後にした。
今まで回ってきた中で、一番迫力がある場所だった。
本当に、忘れられない場所になったのだった。

続きは、三十三番、菊水寺へ。また明日。
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コメント

結願おめでとう

sizukuさん こんにちは。
秩父札所の結願おめでとうございます。
リスちゃん(勝手に略称です 笑)との撮影行 楽しそうですね。
ときどき はらはらどきどきしながら拝見してますよ。
奥の院の 何枚かの写真 あれは危ないところに立たないと 撮れませんねえ。
風の谷のあの一段突き出た岩に足場を移したsizukuさんを思い出しています。
リスちゃんに あんなこと教えてはいけませんよ。
ところで 私は時間に追われていて 大日如来さまだけで 観音様には行っておりません。
素敵な観音様ですね。もういちどぜひとも尋ねてみます。
「れんげ庵」は行かれませんでしたか?

こいちゃんへ

こいちゃん、こんばんは~(^_^)
結願のお祝いどうもです。本当は歩いて回ったら、感慨深いのかもしれませんが、それでも回り終わった御朱印帳を眺めると、なんだか達成感がありますね。
>リスちゃんに あんなこと教えてはいけませんよ。
はい!アイリスは子リスのわりに高い所は苦手みたいなので、大丈夫そうですよ(笑)

こいちゃんは、反対側の観音様はご覧になっていないのですね。あの岩壁沿いに岩の上を歩かなければなりませんので、お天気のいい日に限りますね。小雨の日などはいくら高い所が好きなわたしでも、怖いです(笑)
でも、綺麗な観音様ですし、武甲山や周りの山々の眺めも360度ですから、最高です。ぜひどうぞ!

れんげ庵は行きたかったのですが、時間の関係で次回に回しました。今度、小鹿野周辺の見所をアイリスとじっくり回ろうと思っていますので、その時は訪れてみたいです。

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