風に吹かれて

風に託すのは遠き夢 風に囁くのは儚き恋 風は形のない遠い記憶…

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夏の夜の夢

先週の土曜日は、青梅の花火大会だった。
青梅駅裏の青梅丘陵にある永山公園で、毎年、打ち上げ花火があがる。
この日ばかりは日頃閑散としている青梅駅も花火見物の人々でいっぱいになるのだ。
娘のアイリスは、この花火大会に彼と出かけるのを心待ちにしていた。
わたしは、山歩きに出かけるのを止めることにして、娘に浴衣を着せてあげる約束をした。
前の晩、娘が休んだあと、玄関をみたら、赤い鼻緒の黒塗りの下駄がきちんと揃えて置いてあった。
娘の嬉しい気持ちがそこにあるようで、微笑ましくて、そっとカメラに納めた。
IMG_3586.jpg


暑い日だった。クーラーの効いた部屋で着付けをした。
アップにしたまとめ髪、紺地にユリの花が描かれた浴衣に、紅い帯を文庫に結んだ。
着物の着付けは無理だけれど、浴衣ぐらいはわたしにも着せてあげられる。娘たちが小さい頃から、夏祭りの度に、近所の子どもたちにも着せてあげていた事など思い出していた。かわいかったな、あの頃…
彼との待ち合わせの場所へ、嬉しそうに出かけて行くアイリスの後姿を見送って、せっせと夕飯の準備を終らせた。
IMG_3571.jpg

さて、わたしも…(笑)浴衣を着たいと言いたい所だけれど、わたしはいつものTシャツにGパン。夜だけどキャップのいでたちで、自転車に乗って家を飛び出した。
週末の森へ向かう途中の田んぼは、花火見物をするには格好の場所で、近所の人たちが、大勢やってくる場所だ。
けれど、わたしはそこへ向かわず、少し離れた場所の小高い丘の上から見ようと思っていた。
多分見えるはずだと思う。すると地元の人たちが数人、その丘の上から眺めていた。やっぱり見れるんだわ!

やがて、煌く町の明かりの一角から、しゅるしゅるしゅると小さな火の玉が上がり、シュパッと花開く。
花火大会の会場で見上げていると、空いっぱいに広がる大輪の花に見えたけれど、こうして遠く離れた丘の上から眺めていると、何て小さくて低いのだろうと思った。
そして、大きな空の下では、ほんの小さな一角で、上がっているんだなぁと思う。
ビギンの「灯り」という、歌を思い出した。

 人が点せる明かりは、あまりに儚い…

そう、儚い…でも、儚いけれど美しいんだと思った。
わたしは、カメラを向けることも忘れ、夜空の彼方のひと隅で、儚く輝く光の花を見ていた。
そして、振り仰いだ夜空には、真夏の夜空の星たちが、何億光年の彼方から永久の光を投げかけているのだ。
ふと、ずっと昔、20歳の夏に、友人と夜汽車で東北の旅に出た日の事を思い出していた。
走る夜汽車の窓から、どこまでも続く田園風景を眺めていたら、はるかな山際から上がる遠花火が見えたのだった。
夜汽車の心地よい振動音の他には何も聞こえない世界で、音もなく漆黒の夜空に花火は上がっているのだった。
遠花火を、美しいなぁと眺めていた事をありありと思い出した。
それは長く心に刻まれた原風景なのかも知れない。

アイリスは、その瞳に、この儚くて美しい遠花火を、どんな風に焼き付けた事だろう。

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桔梗(sizuku)

Author:桔梗(sizuku)
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