風に吹かれて

風に託すのは遠き夢 風に囁くのは儚き恋 風は形のない遠い記憶…

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渓流の畔

奥多摩の水源の森の一つでもある奥日原は、たくさんの美しい渓谷がある。
雲取山周辺にもたくさんの谷があり、それぞれの源流が集まり日原川になり、更に奥多摩湖から流れ出る多摩川に合流する。
奥日原からの雲取山への入山ルートは、唐松谷に沿ってブナ坂に登るルート、その唐松谷から分かれ野陣尾根を小雲取山に登るルート、そして、更に奥まって長沢山から流れる長沢谷との合流地点から、雲取谷に沿って大ダワに登るルートとがある。
わたしは長沢谷からのルートの登山口に佇んでいると言うカツラの巨樹に逢いたかったので、唐松谷への分岐を通り越して更に林道を登った。
やがて、日原林道の終点に辿り着いた。そこにはすでに数台の車が止まっていた。
ここまで、車で入山できるのなら雲取山は日帰りも可能だろうと思う。
一台の車のフロントガラスには、『5月26日、単独、日帰りにて雲取山入山』という登山届けが置かれていた。そうか、単独行の場合はこんな配慮も必要なのかと感心してしまった。
道標が立っていて、この時点で標高が1500mと記されていた。
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ここから、谷に向かって木立の中を下っていく。
クワガタソウやジシバリ、咲き残ったタチツボスミレが木漏れ日の中に咲いていた。輝く新緑の葉陰に鮮やかなヤマツツジの花が朱色に萌え立つように咲いている。
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やっぱり小さなバッタが…
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谷川の音がだんだん大きくなってきて、木立ちの間から青いせせらぎが覗いた。
岸辺は幾重にも降り積もった落葉の畔。大きな岩にあたって砕ける白い波。
倒れて苔むした倒木。森は風にそよぐ結葉。
こころは、いつしか逸りだす。
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やがて、道は、溢れるような緑の谷に出る。
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清らかに流れる谷川には小さな丸木の橋が架かっていた。
いかにも奥秩父らしい丸木橋…歩くとユラユラとゆれる橋。
わたしは、こんな橋と渓流が大好きだから凄く嬉しくなって、橋に腰をかけてしばらく辺りの緑の輝きと渓流の歌う声を聞き、心地よく緩やかに流れてくる谷風に吹かれていた。
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橋桁に咲いた小さなハコベ。

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川岸はキャンプサイトにもってこいのような場所だった。幾張りかのテントの設営も可能な平らな場所もあるし、釜戸をこしらえるのに手ごろな岩もある。渓流はとても清らかで水場としても使えそうだ。
きっと夜空の星々も降るように輝いていることだろう…
ぼんやりそんな事を考えながら、しばらく、この気持ちの良い川岸で風の囁きを聞いた後、立ち上がり巨樹を探した。
『雲取山へと向かう登山道脇に佇み行き帰りの登山者達を見守っている』と奥多摩の巨樹を紹介しているサイトで読んだことがある。
川岸から真っ直ぐに深い森の中へと伸びている登山道を歩き始めたその時、「あ~!あった…」心臓がドキッとして、一瞬歩みが止まった。
そして、わたしはゆっくりとその樹に近づいていった。

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なんて美しい樹なの…
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そして、何て逞しいの…その根の偉大な事といったら

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天を仰いで聳え立ってる。緑なすその葉の美しさ…IMG_0268.jpg

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逢いたかった樹…やっぱり素敵
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その先の道をもう少し歩いてみたくて、落葉を踏みしめながら広葉樹の瑞々しい森へと足を踏み入れていく。
楓やブナやミズナラやトチさまざまな木々がゆったりと枝を広げた豊かな森だった。
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すると登山道から少し外れた森の斜面に、白い樹肌を見せて何だかとてつもなく大きそうな樹が見えた。え?あれは?…
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かなり大きな樹だと思った。
わたしは倒木を乗り越えて斜面をよじ登って行った。
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その巨樹に辿り着いて、わたしはその偉大さにびっくりした。
本当に大きい…たぶん、今まで見たうちで一番大きいのじゃないかと思う。しかも、その樹の情報は見たことがなかった。
知られざる巨樹?もちろん、知っている人もいるのだと思うが、まだ、奥多摩の巨樹として整備されてはいないようだった。
登山道から外れているし、巨樹を探そうと思っていなければ、人目に付く事はなさそうだった。
人知れず、こんなに巨大な樹が生きている…奥多摩の山って素晴らしい。
改めて感動したのだった。
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そして、その樹の根元には純白のギンリョウソウが咲いていた。
葉緑素を持たないこの花は、透き通るように白くて奇妙な形をしている事もあり、ユウレイタケなんて言われてるけど、今日出逢った花は、とっても清楚で可愛らしかった。
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落ち葉の中から顔をだして、ひそひそと何かおしゃべりしているようだった。
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巨樹は、そんなギンリョウソウを見守っているようでもあった。
何だか不思議の国に迷い込んだアリスの心境…
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そろそろ、引き返さなければいけない時間が迫っていた。わたしは巨樹に触れ、そして別れを告げた。

清らかな流れの縁に戻ってきてお昼を食べ、長沢谷を後にして一路、長い長い林道を戻っていった。今度は、もう少し先まで行ってみたい。
まだ見ぬ森の奥に、人知れずたくさんの巨樹がいるに違いない。
逢いに行きたい。そして、雲取山に咲くというキバナコマノツメを探してみたい。輝くような黄色い花びらのスミレを…
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コメント

こんばんは~、デス。

天気下り坂の中の月夜、雲隠れ有りで、
かえって麗しゅう感じる今夜です。

自然の健気さ・美しさ、雄大さ・逞しさ、が
sizukuさんのブログを拝見するたびに心打ちます。

sizukuさんにとっては、極々日常になってる感じですが、
自分もそんな自然の中に身を置き、心洗う機会も必要だなぁ・・・って
思う今日この頃です。
ちっぽけな僕らが、壮大な自然と出会い、戯れ、感じる・・・
それって、生きることに於いて、必然なことなんでしょうね♪





りゅうさんへ

りゅうさん、いつもコメントをありがとうございます。お返事が遅くてゴメンナサイね。
一通り家事が終るとすぐに12時が来てしまいます(^^ゞいつのまにか遅い時間になってしまいレスを付けないままになってしまったりでごめんなさいね。でも、嬉しくコメントを拝見していますよ。
わたしのブログから、そんな風に感じ取っていただけて嬉しいです。わたしが伝えたいことも書きたいこともそんな感じです。
りゅうさんのお近くにも素晴らしい自然があるのでしょうね。ぜひ、歩いてみてくださいね。
極々日常に見えますか?これでも、わたしも、結構努力して出かけてるんですよ(笑)
非日常の中への逃避なのかも知れませんが、誰も来ない渓谷を独り占め…三脚にカメラをセットして自分を撮って見たり…ばかみたいですネ(^^ゞ
この日も出逢ったのは、単独行の男性3人だけでした。そうそう、オオルリ、コマドリに逢えました。そして、警戒して啼く動物の声。多分、鹿か猿だと思います。ザックに付けた熊よけの鈴が高くなるように飛び跳ねて歩きました。また、新しい巨樹2本も見つけちゃいました。

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巨樹に惹かれるってことは、人間の根本的な「なにか」なんでしょうね。
うまく書けませんが。

shuさんへ

shuさん、お返事遅くてごめんなさいm(__)m
巨樹に惹かれるのは、人間の力の及ばないところで、壮大な時間と生命の営みが綿々と繋がっている…その見えない力なのじゃないかと思います。
今という現実と遙かな過去と、彼方の未来、それを繋いで生き続けている巨樹。
わたしたちは、幼い木だったころのこの樹を知らず、これから先、屋久島の千年杉のように偉大になったこの樹を見ることもありません。それを思うと人の一生の短さを儚く思い、だけど生きていることの喜びや、人と触れ合いこころを繋げる素晴らしさを想います。
上手くいえないですネでも、わたしは、そんな想いで巨樹を見上げているような気がするんです。

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桔梗(sizuku)

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