風に吹かれて

風に託すのは遠き夢 風に囁くのは儚き恋 風は形のない遠い記憶…

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カゲロウ

午後、3時、下山し始めた山道は急速に光を失くしていった。
さっきまで、あんなに輝いていた尾根道も青空も、急に翳りを見せ始めていた。
足元のカタクリやエンゴサクの花が、「早く、早く…」と言っていた。
林立するチドリノキたちも、やわらかな若葉を、さわさわと風に揺すりながら、「もうじき、最後の陽射しが来るよ」と伝えていた。

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やっと、沢の源流に辿り着いた。わたしは、冷たい真水で喉を潤し、甘やかな、余韻が喉元にひろがっていくのを感じていた。
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沢沿いには、白いニリンソウが寄り添いながら咲き続いて、遅い午後の光の中で白い可憐な花をより白く浮かび上がらせていた。
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午後4時、辿り着いた登山口の沢に架けられた丸太を渡り返しながら、振り返ると山々の影から夕日が射し込んで急に辺りが明るく輝きだした。
何気なく空中に目をやって、わたしは、「あっ!」と小さく叫んでしまった。小さな沢の水面の上から上空にかけて無数のカゲロウたちが飛んでいたのだった。

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カゲロウたちは、飛ぶというよりは、舞っているという感じだった。
ふわふわとただ上下に舞いながら浮遊していて何とも表現できないような幻想的な光景を醸し出していたのだった。

カゲロウは子孫を残すためだけに成虫になると聞いた。成虫になると飲まず食わずで、わずか1日の命なのだという。
今、夕日に染まり金色になったカゲロウたちは、一生懸命、子孫を残すために舞っているのだと思うと、この求愛の舞が、とてもいとおしく思えてきた。

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わたしは、我を忘れて、この儚く幻想的な光景を見入っていた。
オレンジ色に輝くカゲロウはとても美しくまるで、川の妖精のようだった。やがて、どこへとも無くカゲロウの姿は消え、ただ、川音だけが響く世界に戻っていた。

わずか1日の儚い命…
でも、カゲロウたちは精一杯生きたんだね。
わたしは、始めて見たこの光景を、きっと忘れることは無いだろうと思った。そして、夕映えの渓谷に別れを告げたのだった。

ふと、気が付くと、ヒトリシズカの花が咲いていた。
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桔梗(sizuku)

Author:桔梗(sizuku)
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